善福寺日乗

ある職業的散歩者の日記

2021-01-01から1年間の記事一覧

When the music stops

世界金融危機直前の2007年7月、当時、世界最大の銀行だったシティグループのCEO チャールズ・プリンスは取材に対し、“When the music stops, in terms of liquidity, things will be complicated. But as long as the music is playing, you’ve got to get u…

William R. White の警告

大手不動産開発会社・中国恒大集団のデフォルトに関する記事が連日ニュースサイトを賑わせていますが、Bloombergが9月18日に配信した”アシュモアやブラックロック、中国恒大の債券を大量に保有”という記事を目にして、William R. Whiteの警告を思い出しまし…

労働法のない世界

東洋経済ONLINEは8月1日、”個人請負で「予期せぬ事態」に直面する根本理由 - あらゆる業種に広がっている「無権利状態」”という特集記事を配信しました。実際には被用者と同じ仕事をしているにもかかわらず、業務委託契約や請負契約などに基づいて働く人たちが急…

死んだ男

一昨日、2回目のワクチン接種を受けたあと、疼痛と発熱にみまわれました。カロナール錠を服用し、YouTubeで音楽を聴きながら微睡むうちに、どういった巡り合わせなのか、ヘッドホンから流れてきたのは斉藤哲夫の”悩み多き者よ"。 www.youtube.com そして、ほ…

消防士のいない夏に

この春、ポール・ボルカー、アラン・グリーンスパン、ベン・バーナンキという3人のFRB議長経験者の回顧録に続いて、ティモシー・ガイトナーの”ガイトナー回顧録 - 金融危機の真相”(2015年8月、日本経済新聞出版社)を読む機会がありました。 サブプライムロー…

On lâche rien 

この30年ほど日本社会は苦境に喘いできましたが、近い将来、今日の苦境さえもが楽園に思えるほどの破局がやってくるのではないか。そのとき、かつてナチスがそうしたように、打ちのめされた人々のルサンチマンにつけ込む排外主義的な勢力が権力を奪取するの…

大西洋しか知らない田舎者

3月上旬、溶連菌感染症のため一週間余り寝込んでからというもの、ものごとを突きつめて考えることや文章にまとめる気力がすっかり萎えてしまいました。しまいにはノートをとりながら読書することすら億劫になってくる始末で、これが老いというものか、と嘆息…

道と街

汗ばむような陽気に恵まれた昨日、ほぼ10年ぶりに東向島や京島の街を歩いてきました。かつて撮った建物のほとんどは姿を消していましたが、曲がりくねった路地は健在で、心が躍りました。 わが国初の近代的な都市計画である市区改正は、道路の改良をおもな目…

奇妙なニュース

共同通信は昨日(2021年2月20日)、”EV普及で雇用30万人減も 部品減で、メーカー苦境”という記事を配信しました。 ところが、『自動車がガソリン車から部品数の少ない電気自動車(EV)に切り替わることで、国内の部品メーカーの雇用が大きく減少する恐れがある…

集金人の到来

17〜8年ほど前、広告代理店からの依頼で、地方自治体の文化施設整備・運営や文化関連プログラムのあり方に関する原稿を書いたことがあります。 人類が経験したことがない超高齢化社会が到来すれば、医療や社会福祉の分野で膨大な財政需要が発生する。人口の0…

YESTERDAY WHEN I WAS YOUNG

滝沢峠の麓に住んでいた20代前半、定期購読していたFM Fan誌を頼りに、よくJazzをエアチェックしました。国内では入手できない音源も多かったので、気に入った曲については文字通りテープが擦り切れるまで聴いたものです。そんなお気に入りの一曲が、Blossom…

日本自動車産業に未来はあるのか

2020年12月17日付のロイターは、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)がオンラインの会見を開き、日本政府が2050年の達成を目指すCO2排出量を実質ゼロにする”カーボンニュートラル”に関して、「国家のエネルギー(電源)政策の大変革なしでは…